先日こっそり札幌に行ってまいりました。
友人が14年毎月続けたパーティーがファイナルとの事。
2年くらい前に一度遊びに行ったのですが、その時の体験が強烈でした。これはもう行かねばと。
丁度到着した昼時はかなり暖かく、十分な防寒着のおかげで汗だくになってしまうほどでした。
前回からの宿題だった回転寿しも無事制覇。夜にはいつものジンギスカンでガッツをつけていよいよ22:30過ぎに会場のJADEにイン。今回は誰にも言わずでのいきなりの来札だったので、思いのほか皆ガン上がりしてくれました。よかった^^
最終の諸々のチェックも終わり、皆で円陣を組みwいよいよ1枚目のレコードに針が落とされパーティーはスタートしました。どこからともなく聞こえて来るような幽玄な響きにそれぞれ皆スイッチが入った感触を感じつつ。。。。
さていろいろ話を聞いていると、今回のパーティーが終了するのはJADE自体が今月でなくなってしまうからとのことでした。ただこのハコができて9年。でパーティーは14年。次の新しい場所を探して継続はしないのかとの問いに、彼らの決断は「NO」 でした。もちろん様々な理由や想いがあるのは明白です。そのあたりは自分は詮索しようとも思いません。その決断こそが全てだからです。
時間が過ぎるにつれ、彼らのMATE達が続々集結し、パーティーはもう木曜とは思えない盛り上がりでした。そんなに知り合いがたくさんいた訳でもないので、ただひたすら音楽と空間に漂う時間が流れました。ほのかに輝くミラーボールの光りの下でこれからどんな結末になるのかとか軽く想いを馳せつつ、店員の男の子と話したりしてました。彼は現在22歳。もともとJADEはレゲエやHIPHOPがメインですがテクノやソウルなどのパーティーもあったりで、のハコなんですが、彼にはそのあたりの音楽が好きな同世代の友人が全くいないそうです。ここのお客さんも若くても彼より4〜5歳上。ウチらなんてもうはるか彼方です。「A LIFE とかにいけばいるらしいんですけど。。。」ちょっと愕然としました。自分がクラブにハマったのはまだ10代の頃。もちろん強烈な音楽&パーティー体験があったからでした。22の頃なんてもうそればっかりしか考えられないくらい夢中でしたが、今の若人たちにとって音遊びは魅力がないのでしょうか。心が震えるほどの音楽体験はないのでしょうか。クラブは出会いの場か、もしくはアホみたいなかけ声で盛り上がるだけの希薄な宴会場でしかないのでしょうか。
そんなことを考えながらもパーティーはさらにスパークしていきます。やみくもに騒ぐといった類いのものではありません。3〜4曲で次のDJにスイッチするのですがちぐはぐしたところはありません。かける曲のクオリティーとタイミングが思わずグッとくるので、どんどん音楽にパーティーに引き込まれていきます。
それからもう何時間経ったのかわかりませんでした。人も増えたり減ったりまた増えたり。パーティーの空気は止めどなく空けられるビールグラスに比例して濃厚に濃厚を重ね、先はまだまだ見えないでいます。そのうちに体のあちこちや気持ちにも疲れが出てきました。ただ不思議と眠くはならなかったので、盛り上がる人間酒場を眺めたりしながらぼうっとしたりもしました。
何時なのかな。。
たまに時間も気になったりしました。
時計はオープン時にロッカーにしまってます。
体の節々も痛み始めたのでストレッチをしながら様子を見ます。
普段であればそろそろ帰路につこうかと思案するタイミングです。がしかし今回はラストです。そのゴールを見届けたい。どんよりとした自分との戦いにもなります。そして音楽はまだまだ鳴り続けます。
このパーティーは何より音が素晴らしくいいのです。天井まで積み上げられたスピーカーは、その見た目から察するにかなり大雑把な鳴りを予想しますが、毎回時間をかけて音を調整してるので音の分離や臨場感が美しく、正直そのおかげで長時間滞在することができたと言えるでしょう。そして床はフローリング。ベビーパウダーもしっかり撒かれ体の負担は最小限に抑えられています。
彼らの14年の歳月を何度となく彩ったであろう曲達が次々とプレイされます。定番と呼ばれる曲達が数多くです。それでも「ああ☆こんな音入ってたんだ!」なんて新しい発見やグルーヴも数多く体感できました。
そんな風に時間を取り留めもなく過ごしている内に、今まで気になっていた足のだるさや気持ちの重さがすうっとなくなっているのに気づきました。 特に何をした訳でもないんだけど、それまでが嘘の様に自分自身が軽くなりました。音は華やかに聞こえ踏み出すステップも今までとはまったく別モノです。一山越えたのでしょう。ようやくのご褒美だったのかも知れません。
カウンターに置かれたクッキーやフルーツやゆでたまごを頂きながら、そんな時間がもう取り留めもなく続き、そろそろと思い一度時間を確認しました。
16:00
。。。きました。
なんとな〜くな予感は当たっていました。
確か今日は天気いいはずだよな。朝どころかもうすぐ夜じゃん。
時間を知ってしまった以上後はもうゴールを明確に目指すことも可能になります。がこの日に限っては何時に終わるのかはまったくわかりません。パーティーも何を気にする事なく変わらず続いています。
それからしばらくすると、なんとなくパーティーの雰囲気が変わってきました。照明はいつしかほのかに明るくなり、緩やかで優しい音楽が奏で始められ会話も減り、それぞれが自分自身と向き合い想いを馳せているようでした。
と思いきやいきなりダンスビートが打ち鳴らされ、みな弾けたようにダンスフロアに集まり笑顔を交換しながらステップを踏みその日一番の盛り上がりをみせることもあり。。。
そして、
性急なハットがユニークで流麗な曲を最後に、このパーティーはふと幕を閉じたのでした。
振り返れば、いろいろあったけどあっという間でした。
時計を見ると20:00
特に盛大なラストだったわけではありませんでした。
パーティーのタイトル通りの
"A DAY IN THE LIFE."
そんなカンジでした。
でもこれだけ永遠というものを感じたことは今までありませんでした。
それでもやっぱり終わりは存在しました。
そして時間は軽やかに刻々と過ぎていきます。
あの時はあそこで過ごした21時間を振り返ることはできませんでした。
しかし帰還後しばらく過ぎた今になって、あの空間や時間は実感として思い起こされます。
越えられない山はない。
それを自分はこの体で実感することができました。
あのすうっと気持ちと体がどんどん澄み切って軽くなっていく感覚は忘れる事ができません。
UNITY CREWの皆様ありがとう。またいつの日か。